小咄
□紅葉
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「いい加減、誰か見つける気にはならないの?あのギップルでさえ――」
そんな笑えない冗談を、僕に向かって平気で言ってくれる君。幸か不幸か、僕はこういう
時に卒のない返事をすることだけは、昔から得意過ぎるほど得意なんだ。けれど――君の
優しさは時々――残酷なまでに僕を傷つける。
「いい人がいればいいんだけど。」
「よく言う・・・・・・!ベベルの女性の半分は、アンタのファンだってわかってるのか?
エボン党をまとめる切れ者のくせに、こういうことには鈍感なんだな。」
――わかってないのは君の方だ。
僕は君が思っているほど鈍感な男じゃない。だって僕は、出会った時に気づいてしまった
から・・・・・・パイン――君が、ヌージにぞっこんだ、ってね。