小咄
□聖なる泉
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同じことを思い出していたのだろう、ユウナはティーダの手に自分の手を重ね合わせて笑った。
「ティーダも結構、ひどかったよ。」
「ま、いんじゃない?昨日は一晩ビサイドに泊まったんだしさ。おあいこってことで。」
ユウナは、大木を見上げる。
「また、一緒に来れたね。」
どちらも、未来など思い描けなかったあの頃。ここから旅が進むにつれ運命は皮肉なま
でに交錯し―――2人一緒にまたこの地を訪れることができるなんて、誰が想像できただろう。
だけど今は―――
「ほんっとスピラってとこは飽きないよなー。
やっつけてもやっつけても、新しい敵が登場するんだもんな。」
「わたし、何度だって戦うよ。」
望めば2人にも未来があるとわかったから。
2度とこの手を離さないって―――そう決めたから。
「俺も。」
2人は、ピタリとくっついたまま、しばらく大木を見上げていた。比翼連理―――互いの
側を離れないためならば、この2人は何度でも、その足で立ち上がることを厭わないだろう―――