小咄

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「聞こえなかったのか―――俺は、お前の傍にいたいと言ったんだ。」

「き・・・聞こえてるっ。」

今の私、絶対顔が赤い。
赤くなった顔を見られたくなくて思わず横を向いたら、耳元に直接、ヌージの声。

「俺は―――」

―――ぞくぞくする。

「だから、わかったって!」

「お前はどうなんだ・・・?」

こんな時でさえ、自信満々のヌージがムカツク。
でも・・・もう誤魔化せない、そう思った。

「私は―――私も―――傍にいたい。」

消え入りそうな小さな声。これが私の精一杯。
ヌージは愉快そうに笑った。


「ではリュックに貸してやるわけにはいかんな。」


もう一度、キスが落とされる。まるで、抵抗できないってわかってるみたいに。



仕方ない。本を書くのはもう少し後にしてやるか。
これからもっと、面白いことがたくさんおきそうだから―――本を書くのはそれからでも、遅くない。
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