小咄

□境界線
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言ってしまった―――と、思った。
思いがけない提案だったから、本音が零れるのを止められなかった。

ヌージが声を出さずに笑った。

「ああ。一番に馳せ参じてくれたよ。やはりアイツがいると心強い。」

「なら私の出番はないよ。やっぱり私は本を書くのが性にあって―――」



ふいうち。



気がついたら、唇が温かいもので塞がれていた。



「―――シメてやるっ!」

流されそうな自分に必死に抵抗したくて、ヌージの胸を思いっきり拳で叩いた。
なのにヌージのやつ、心から楽しそうな顔で笑ってる。

「本を書くのが性にあってる?そんな訳ないだろう?お前は動かずにはいられない女だよ、パイン。」

「それならリュックの手伝いでもするさ。」

「何故?」

「なんででもいいだろっ。」

「よくはないな・・・俺は―――お前の傍にいたいから。」

「―――はっ?!」
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