小咄
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「具体的にはどんなことやってるわけ?」
「まだ再建を決めたばかりだからな―――だが今度は政治には手を出さないと決めている。
魔物が出たら部隊を派遣したり、一人で暮らすのが心許ない老人たちのためのホームを建設したり、そんなところだ。」
「何でも屋か。カモメ団と一緒だな。」
思わず笑いがこぼれる。
私につられたのか、ヌージも笑みを見せた。
「で?その"本を書く"ってのは面白いのか?」
一緒の時を過ごせば共に笑う―――でもこの人は私の手に入らない。
近寄り難い見た目をしているくせに、本当は誰よりも優しいから。
だからこの人は、ルチルにもルブランにも、他の女の人たちにも同じように優しい―――結局誰の手にも入らない男。
「おい!聞いてるのか?」
「―――あ?!」
「暇はあるのかと聞いてるんだ。」
「・・・何の?」
ヌージはため息をついた。
「青年同盟を立て直す手伝いをする気はないか?
同じ失敗を繰り返したくないからな―――今度は、軍人らしからぬ人間を入れたいんだ。」
「他には誰がいるの?・・・ルチルとか?」