小咄

□境界線
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ギップルには悪いけど、"フクザツな四角関係"なんて最初からどこにもなかった。
だって私は出会った瞬間、心を奪われていたんだから―――


長く黒い髪に、意志の強そうな瞳。戦えば誰よりも強い鍛え上げられた身体。それから―――

「お前は今、何をしてるんだ?」

「大して何も。暇なときは、本を書いてるくらい。」

「本?」

何か聞きたげにピクリ、と片方だけ上がる眉が好き。

「ほら、いろいろあったから。それなりに。」

「ふん。」

口角だけ上げて笑う皮肉な口元が好き。

「そっちは?なんか解散した青年同盟復活させるとか穏やかじゃない話を聞いたけど。」

「それほど物騒な話でもないさ。
 青年同盟にいたヤツらは、結局力を持て余して各地で騒動を起こしていたからな。
 それならいっそ、集まって何かをやっていた方がいい。」

自信満々なその態度も、好き。

「今度こそ正しい道を進もうって?」

「"正しい道"なんかどこにもない。それを探し始めたところから、見失い始めるんだ。」

それから―――それからこの人の、全部が、好き。
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