第1章
□居場所
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「おい、ソラ!」
ギップルは、今まさに発掘に出ようとする少女を捕まえようと走ってきた。
「今日も発掘行くんだろ?
できたらコレ、頼むな!」
頭の後ろを掻きながらギップルが差し出したのは、プレミアもののレアパーツ。ソラと呼
ばれた少女は、差し出されたパーツに視線を送ると、ギップルを哀れみの目で見つめた。
少女の名前はソラ――それはあの日、そういえばまだ少女の名すら知らないというギップ
ルが、ナーダラの有無を言わさぬ目線に負け、再度面接をやり直してわかったことだが―
―ルカ出身の17歳で、10歳の時両親を亡くし、気ままな一人旅を楽しんでいる真っ最中と
いうことである。・・・・・・途中、スリにあって所持金のすべてを奪われるまでは、とにかく
そうだったらしい。
「いい加減わかってくれない?
パーツを限定して発掘なんかできない。」
ソラは、大げさに溜め息をついて見せた。
「わかってるって!けど、どっちみち、発掘してくる可能性あるのお前だけだろ?
コレ――今開発中のマキナに絶対必要なんだ。」
ギップルはまったく悪びれずにニヤリと笑うと、いつものようにソラの肩を叩いて、どこ
かへ行ってしまった。。