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□それぞれの迷い
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アーロンは、チラっとブラスカの様子を見た。


楽しそうに笑っている姿は、いつもと変わらないように見える。

だが先ほど――アーロンがジェクトに映像スフィアを撮らされている横で、ブラスカは何
かを見つめて『少し考え事を』していると呟いた。


アーロンは、この召喚士を心から尊敬している。

アルベドの女性を愛して周りの目も気にせず結婚し、人々が自分を蔑んでいるのを分かっ
ていながらスピラに命を捧げられる男のことを、尊敬せずにはいられないではないか。
だからこそ、アーロンはガードとしてこの旅に同行することに、何の躊躇もなかったのだ。

今度は、黙々と走るジェクトに目線を走らせた。


アーロンが自分の考えに自信がなくなってきたのは、この男に出会ってしまったせいだ。
スピラの記憶もシンの記憶もなく、"遺跡ではない"ザナルカンドから来たというおかしな男。

彼はなんの躊躇もなく、シンを倒して家族の元へ帰る気で、やたらと映像スフィアを撮り
たがる。家族への土産というわけらしい。


最近、2人はよく子供の話をしている。家族のために命を捨てようという男と、家族のた
めに生きて帰ろうとする男。いったい、どちらが正しいのだろう・・・・・・?もしかすると、
ブラスカ様も悩み始めたのだろうか・・・・・・?
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