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□受容
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アーロンが2体のスノーウルフをあっという間に倒し、3体目に斬りかかろうと身体の向
きを変えると、目に入ったのは、空気中に漂う幻光虫と、剣を構えたジェクトの姿だけだった。
「ふんっ。スピードだけは、一人前だな。」
「それが、ブリッツ選手ってヤツだ!」
2人の様子を見ていたブラスカが、微笑んだ。
「ありがとう。私の出番はなかったようだ。」
* * *
およそ見慣れない構造の建物を前にして、ジェクトは困ったように頭を掻いた。
「なんだ、こりゃ。迷路か・・・・・・?」
「これは召喚獣に力を貸してもらう為の試練だよ、ジェクト。
寺院はどこもみな、多かれ少なかれ道を開かなければ進めないようになっている。」
「かー!めんどくせぇ!こういうことは得意なんだろ、ブラスカ。任せたぜ。」
そういうと、ジェクトは一歩、ブラスカの後ろに下がる。ブラスカは気にする様子は見せ
なかったが、アーロンにはそれが許せなかった。
「召喚士を前に立たせるガードがいるか!」
しかしジェクトはそれには答えず――恫喝するアーロンの横をすり抜けマフートに向かっ
て斬りつけていた。アーロンはまったく気づいていなかったが、ジェクトはいち早く、自
分たちの後ろに魔物が迫っているのを捉えていたのだ。
「どうやら、彼は優秀らしいね。」
ブラスカが、アーロンに向かって微笑んだ。