X−0

□受容
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アーロンが2体のスノーウルフをあっという間に倒し、3体目に斬りかかろうと身体の向
きを変えると、目に入ったのは、空気中に漂う幻光虫と、剣を構えたジェクトの姿だけだった。


「ふんっ。スピードだけは、一人前だな。」

「それが、ブリッツ選手ってヤツだ!」

2人の様子を見ていたブラスカが、微笑んだ。


「ありがとう。私の出番はなかったようだ。」


     *     *     *


およそ見慣れない構造の建物を前にして、ジェクトは困ったように頭を掻いた。


「なんだ、こりゃ。迷路か・・・・・・?」

「これは召喚獣に力を貸してもらう為の試練だよ、ジェクト。
 寺院はどこもみな、多かれ少なかれ道を開かなければ進めないようになっている。」

「かー!めんどくせぇ!こういうことは得意なんだろ、ブラスカ。任せたぜ。」

そういうと、ジェクトは一歩、ブラスカの後ろに下がる。ブラスカは気にする様子は見せ
なかったが、アーロンにはそれが許せなかった。


「召喚士を前に立たせるガードがいるか!」

しかしジェクトはそれには答えず――恫喝するアーロンの横をすり抜けマフートに向かっ
て斬りつけていた。アーロンはまったく気づいていなかったが、ジェクトはいち早く、自
分たちの後ろに魔物が迫っているのを捉えていたのだ。


「どうやら、彼は優秀らしいね。」

ブラスカが、アーロンに向かって微笑んだ。
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