小咄 A
□Tifa
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翌朝――
「さぁ、出発!」
「うん!あ・・・・・・ちょっと待って!!!」
クラウドが借りてきたサイドカーの補助席から、マリンが慌てて飛び降り店へと駆け戻った。
「これでよし、と。」
店の中から『臨時休業』の札を持ってきたマリンは、慎重な手つきで店の扉にそれをかける。
それを見たティファは、昨晩遅く、セブンスヘブンに帰ってきたクラウドとの会話を思い
出し、つい笑みをこぼした。
* * *
「何これ・・・・・・?」
「見ての通りだ。」
「臨時休業・・・・・・?」
「ああ。ユフィから託された。どうやら俺は、働きすぎということらしいな。」
「なるほど?」
「明日、どこへ行くのか聞かないのか?」
「どこへ行くの?」
「内緒、だ。」
――めずらし。
ティファは、久しぶりにクラウドと出かけられるそのことよりも、明日の話をするとき、
クラウドの口の端がわずかにほころんでいたことが、何より嬉しかった。
――それって、クラウドも楽しみしてるって、そう思ってもいいよね?
* * *
「荷物は全部持ったか?」
「うん!ティファが作ってくれたお弁当もね!」
「じゃあ、行くぞ。」
「しゅっぱ〜つ!」
2台のバイクは、荒野へ向けて走り出した。