小咄 A

□Tifa
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キリエの話を気にしている訳じゃないんだから――これは、単なる仕事の連絡。


ティファは、ちょうど伝言もあったのをいいことに、夕方、店に誰もいない時間を見計ら
ってひとり、受話器を手に取った。


「もしもし?クラウド?」

――ああ、俺だ。

まるでティファからの電話を待ち構えていたみたいに、1コールでクラウドが応えたのは
軽い驚き。静かな2階に、ティファの声が響く。


「ごめん、まだ仕事中だった・・・・・・?」

――あとはミッドガルに運ぶ荷物だけだ。何か依頼があったのか?

「1件だけ。明日中に、コスタまで届けて欲しいって。受けてもいい?」

――いや、それは断ってくれ。明日は休みにする。

「珍しいね。どういう風の吹き回し?」

――別に。なぁ、ティファ・・・・・・店は休めるか?

「うん!」

――ずいぶん簡単だな。

「そりゃ簡単ですよ。だってそんなお誘い、初めてだもん。」

――わかった。デンゼルとマリンにも伝えておいてくれ。それじゃ、あとでな。

「了解!気をつけて!」


店を休んで家族で出かけようなんてクラウドが言い出すのは、初めてのことだった。いっ
たい何があったんだろう?電話を聞きつけたマリンとデンゼルが、やってくる。


「今の電話、クラウド?」

「うん。明日ね・・・・・・お店を休みにして、4人で出かけようって!」

「やったぁ!!!」

「お弁当、作ろっか?マリンの好きなサンドイッチと、デンゼルが好きな――」

「ハンバーグ!!!」

「ティファ?クラウドが好きな卵焼きも忘れちゃダメだよ!?」

「りょうかい!」


ティファは、はしゃぐ2人と明日の計画をたてながら、自然と自分の頬が緩んでいくのを
意識せずにはいられなかった。

――みんなで出かけようなんて、心境の変化でもあったのかな・・・・・・?
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