小咄 A
□Rude
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翌日、ルードはウォールマーケットへやって来ていた。
――洞窟に忘れたマテリアを取ってこい、か。
どうやら、持ち主が恐怖に怯えて逃げ帰る際、貴重なマテリアを落としてきてしまったら
しい。取りに戻る勇気もないが、諦めきれないということで、ルードの評判を聞きつけ依
頼が回ってきたというわけだ。
――未練とは、惨めたらしいな。
大して面白そうな仕事でもなかったが、それでも生きていくために最低限の仕事は必要だった。
「おい!!!」
能力などまるでないくせにやたら偉そうな顔をした男が、害虫を見るような目つきでルードを呼ぶ。
「わかってるだろうな?ネコババなんてしようとするんじゃないぞ?」
「・・・・・・。」
――こんな仕事、クソ面白くもないな。