小咄 A
□Spira
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お伽噺は、バラバラだった彼の"想い"が形になり、成長して少し強くなった少女と少年が
再び巡りあったところで終わっていた。
「もしかしたら――」
これは、お伽噺なんかじゃなくて。
はるか昔、この星で本当に起こった出来事で。
今、私たちが感じてるエアリスの"想い"を形にすることができたなら――
「いや。」
クラウドはたった2音でティファの妄想を否定した。ティファは諦めきれない。
「でもっ。」
――だって、感じるんだよ?
今もエアリスの想いを。
彼女の想いはまだここにあるのに。
彼女はたしかに存在したのに。
静かに首を横に振るクラウド。
「必要ない。」
「また、諦めるの?」
「そうじゃない。見たんだ。」
「え――?」
「俺――見たんだ――この教会で。ザックスと一緒だった。
『もう大丈夫だね』そう言って、2人とも戻っていった。」
「どこに?」
「いま、2人がいるべき場所に。きっと2人は今そこで幸せだと思う。」
ティファは今日初めての笑顔を見せた。
「そっか・・・・・・初恋かな?」
「――――――――――――たぶん。」