小咄 A

□Spira
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こっそり、おでこをつつく。
またここに来てたんだね。
気持ち良さそうな顔しちゃって。
お腹の上には、閉じかけの本。


「読みながら寝ちゃったの・・・・・・?」


そっと本を持ち上げてみる。
それは、クラウドには似つかわしくない、かわいらしい挿絵のついたお伽噺。


「むかしむかし、田舎の小さな村に、女の子が住んでいました・・・・・・」



     *     *     *


「あ・・・・・・?」

クラウドが目を覚ますと、何故か傍にティファがいて、彼が読んでいたはずの本を手に取
り目を落としていた。その瞳には、大粒の涙。

クラウドの声に反応して顔を上げた瞬間、一筋の涙が零れ落ちる。


「クラウド――私もずっと感じてたよ。
 そこら中に散らばってるエアリスの"想い"にずっと助けられてきた。」


それは――はるか昔、戦いの末、世界を救うために自分が消えることを選んだ少年と、も
う一度少年に出会うために、世界を旅して彼の"想い"を掻き集めた少女の物語。
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