第1章
□ベベルにて
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「なぁ――ソラ。今度の納品、お前も来ないか?」
「納品って、エボン党に持っていくやつ?」
ソラが戸惑った顔をしたのもムリはない。何しろ普段、オレは一人で納品に行ってるわけ
で――
「今回は、さ。納品だけじゃなくて、バラライのやつに、一緒にお偉い方を説得してくれ
って頼まれてんだよな。しかも会議の後、現地で調整しなきゃならないマキナの修理も
頼まれてて――ソラが来てくれると助かる。」
適当なご託を並べたものの、一緒に行こうと誘ったのは全く違う理由からだった。
ソラはもうずっと前から、べべルに行きたがってる。
本当は、両親と暮らしていたべべルを一目見たくてたまらないのに、未だに1人でべべル
の地を踏む勇気が出ずにいるのを、オレは知っているから。
やっぱり、ここは無理にでも連れていってやらないと――
ソラは一生べべルに足を向けない気がする、そう思ったオレは、更に笑顔でまくしたてた。
「バラライの言うこと聞かないと、ヌージとパインにも怒られるし。
きっとナーダラにもまたサボってる、って雷落とされるだろ。
だからさ。頼むよ、なっ?」