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□アーロンの苦悩
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その夜――いつものようにジェクトが鍛錬に出ると、寝たふりをしていたアーロンは起き
上がった。
「ブラスカ様。」
一瞬迷いを見せたのち、同じように起きているに違いないブラスカのいる方に向かって声
をかける。
「――お話があります。」
ブラスカは黙って目を開け起き上がると、アーロンの方へ向き直った。
「君には――すまないと思っている。」
「?!」
「君を板ばさみにしてしまった。ジェクトに真実を告げずにいるのは辛いだろう?」
「そんなことは――」
「アーロン。君は優しい人だ。この先に待つ、私の運命のことでも、悩み続けてくれてい
るんだろう?」