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□父として
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「ジェクト、何をそんなに熱心に祈ってるんだ?」
「あ・・・・・・?まぁな、大したことじゃねぇ。」
ここキーリカ寺院は、ブリッツボールの選手でもあった大召喚士オハランドを祀っている
ことで名高い。召喚士が祈り子の部屋を目指すだけでなく、ブリッツボールの選手たちが
祈りを捧げにやって来ることでも有名な寺院だ。
「そんなにショックだったのか?キーパ――」
「わぁぁぁ!うるせーぞアーロン!とっとと試練の間ってやつを片付けちまおうぜ!」
珍しく先頭に立って走りながら、ジェクトはザナルカンドに想いを馳せた。
――アイツ、ちったぁボールを蹴れるようになったかな。
息子が自分と同じ職業を目指すと聞いて、嬉しくない父親がいるはずがない。ジェクトは
いつか、ティーダに"てっぺん"から見える景色を見せてやりたかった。
人に隠れて毎日練習するのも、自分のシュートに妙な名前をつけるのも、すべてはあの景
色を見るため――
――今頃、アイツら何をしてるんだろうな。
あのチビ、今日も変わらず、びーびー泣いてやがるか・・・・・・