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□ジェクトの誓い
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ジェクトは落ち込んでいた。
――なぁぁんか俺、スピラに来てからちっとも冴えねぇ。
魔物と戦おうにも弱点がわからない。戦闘だけじゃない――アーロンとブラスカに一から
教えてもらわなければ日常生活すらままならないことに、ジェクトは苛立っていた。スピ
ラに来てからというもの、ジェクトは自分が赤子になったような気分を味わっていた。
――街のやつらの言ってることは、まるで外国語でもしゃべってるみたいに、わけわかん
ねぇことばっかりだ。挙句の果てに・・・・・・
ジェクトは先程の出来事を思い出し、思わず天を仰いだ。
立ち寄った居酒屋で酒がすすみ、気持ちよく酔っ払ったジェクトは、魔物と間違えてシパ
ーフに斬りかかってしまったのだ。おかげで3人は、人々から白い目で見られただけでな
く、迷惑料をごっそり取られてしまった。
――あんなバカでかい生きもん、ザナルカンドじゃ見たことなかった。まさか大人しくて
乗り物代わりに重宝されてるとはよ・・・・・・ブラスカの野郎、俺に代わって頭を下げてたな。
無力感。
ザナルカンドではそんなもの、味わったこともなかった。スピラにきて数ヶ月、ジェクト
にもこの旅の重要さが分りかけてきたというのに。
――確かブラスカのやつ、嫁さんをシンにやられたって・・・・・・
ジェクトは意を決して、もう一度ブラスカに頭を下げに行こうと立ち上がった。