第3章
□打ち明け話
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「いらっしゃい。ちょうどよかったわ。イナミが寝たとこなのよ。」
ルールーはすんでのところで、一人でウチにくるなんて珍しいわね、という言葉を飲み込
んだ。
長年ユウナの姉代わりをしてきた経験から、リュックも何か悩み事があって来たに違いな
いと判断したのだ。こういう時は、相手が言い出すのを待つに限る。
「どうぞ。」
言葉の代わりに、とっておきの紅茶を出した。こういうものはワッカには出さないのは、
ルールーだけの秘密。
「ありがと。わ、いい香り。」
リュックは一口飲むと、思い切ったように口を開いた。
「ルールーの、子供のころの夢って何?」
――なるほどね。
「リュックは、器用すぎるのよねぇ。」
そう言ってルールーは、笑いともため息ともつかない音をたてた。