X−0

□ブリッツボール
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翌日――


「ブラスカてめー!ふざけんな!」

「ブリッツがやりたかったんだろう?ジェクト。彼らは選手が一人足りないらしいから、
 ちょうどよかったじゃないか。」

ブリッツに関してあまり知識がないらしいブラスカが、嬉しそうにニコニコと笑ってそう
言った。その後ろでアーロンが、初めて見るジェクトの慌てた表情に、ニヤける顔を抑え
きれずにいる。


「ブリッツはスピラの人々の唯一の楽しみだ。だから人々は何があってもスタジアムを守
 り、試合を開催する――アンタ困ってる人は、ほっとけないんだろ?」

「うるせーぞ、アーロン!お前は黙ってろ!なぁ、ブラスカ・・・・・・考え直せよ、なっ?!」

「しかし、もう引き受けてしまったからねぇ。ブリッツボールは得意なんだろう?」

「俺様に敵うやつなんかいるわけねぇだろ!・・・・・・ってそういう問題じゃねえ!
 俺様に――キーパーなんかやらせるなぁぁぁぁぁぁ!」


けれどブラスカは、ジェクトの怒りなど意に介さず、アーロンを連れて昨日と同じように
スタジアムへ向かって行ってしまった。


一人、残されたジェクトは薄ら笑いを浮かべて振り返る。


「あのな。俺様は、エースストライカーなんだよ――わかるか?
 エースはゴールを守ったりしないんだ。」

しかし、試合直前の練習でキーパーがケガしてしまって困っていたビサイド・オーラカの
選手達は、人の良さそうな笑みを浮かべてひたすら感謝するばかり。


「召喚士さまより伺いました――あなたは何をやらせても万能のブリッツ・スターだから
 何でも任せてくれと――まさに、エボンの賜物です。」


そう言って選手達は、ジェクトに向かって祈りのポーズを捧げる。それは――ジェクトが
よく知っている、ブリッツボールの勝利のおまじないとまったく同じだった。
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