小咄
□嫉妬
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「帰ったら、練習行くかな・・・・・・」
誰にともなく呟いた俺の声に応えるように、背中がふわりと暖かい熱に包まれた。
「やっぱり、ここにいた。」
「・・・・・・会議はもういいの?」
「うん。遅くなってごめんね。」
執務室に居場所を見失った俺を、ユウナがあっさりと見つけ出す。
部屋を勝手に抜け出た俺が悪いのに、ユウナは相変わらず申し訳なさそうな顔。頼むか
ら、そんなに完璧でいないで――
「ね。いこ?」
――どこに?
「キミと一緒に、見たいものがあるんだ。」
当たり前のように差し出されたユウナの手を、思わず握りしめた。
俺は今でも――君の側にいる、資格があるかな?