善と悪

□オリハライザヤ
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夜中の0時にとある倉庫に行く。
格好は初めて館島に会った時と同じ服装だ。
今日は集会と言って館島も含め10人ほどの人数が集まっている。年齢は様々だが、もちろん全員白黒の服を着て。

「......さて、今日集まってもらった理由だけども......」

少年声で話す私の周りは緊張感に包まれている。

「館島。君の目的はなんだ?」

そう聞くと、館島はビクッと体を震わせた。

「俺は、単にリングに入りたかっただけで...」

中々《本音を言わない》館島に追い討ちを掛けるように言う。

「それなら僕が言いやすくしてあげようじゃないか。館島晴人19歳駿泉高校出身でその頃から友人の誘いでヤンキー風の身なりをし、カラーギャング【シェルター】に所属するが、薬の販売などに手を出し一年三ヶ月と六日前リングに潰され一週間前に出所しリングに仇討をしようと仲間に入るフリをする。さて、これで言いやすくなったか?館島」

いやー、長く話してしまってすまないね。それとも身長と体重も言った方がいいかな?と軽口を叩くように続けるが、館島はその軽口でさえも恐怖を覚えているようだった。

「なぜ、それを......」
「いやさ、パソコンでちょちょいとやってしまえば出るんだよ、今の御時世。それに、あんたみたいなやつはうちに入る資格はない」

その言葉を言っている途中、館島が銀色に光るものを持ってこちらに突進してきた。

(やけになったかな?)

「扶鍬(ふすき)」

そう言うと、側にいた正臣といた時に話しかけてきたあのサラリーマンが私の前に出てきて館島を背負い投げした。

「かッ......ハッ......!!??」
「うちにはね、仲間を大事に思えるようなやつしか入らないんだよ」

ドンッという叩きつけられた音がし、館島は床に倒れる。

「あれ、もしかして気絶したかな?扶鍬、やりすぎー」
「何言ってるんですか」

真顔で突っ込まれるとこっちも辛いんですけど......。

「紗夜ちゃんやっぱ夜中の性格おかしいよね?二重人格?というか、喋り方変わりすぎ」

集まっていた10人ほどの人数の内の一人のいかにも女子高生といった風の女の子が話しかけてくる。

「それは気のせいだって前から言ってるじゃん、雪菜」

雪菜はリングの中心人物でありながらも私と歳が近い事もあって友達のように話しかけてくれる。

「じゃあ、今日は解散ですか?紗夜さん」
「ん、ありがとね、皆。こんな夜中に呼び出して」
「いいよいいよ、私達はリングに何かあったら普通に過ごすどころじゃなくなるしね」

雪菜がこの中の代表であるかのように言い、周りもそれに賛同するかのように頷く。

「うん...ありがとう」




そして、全員が帰ったあとで私はパーカーのフードをとって声をあげる。

「もう出てきてもいいですよ、通行人Aさん、いえ......」

少し物音がし、その人物が暗闇から出てくる。

「『オリハライザヤ』サン?」

――《陰から見ていた者は》

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