君の香りと混ざりあって(勘違いされ主)

□桜の樹の下で〜鬼灯の冷徹編〜
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〜丁サイド〜
わたしは、丁と申します。
みなしごで、了という双子の弟がいます。わたしの唯一の家族
です。了は、とても見目がよく、賢いです。身内の贔屓目なしで。わたしのように家事を手伝える
ほど身体が丈夫でない代わりに、よく薬草を発見して村の人に
持っていくので食べ物を分けて
もらえます。了は、それを、日頃力仕事などが多いのに、食べ物をもらえないわたしに大半をくれて聞いたことのない保存方法で
わたしに残してくれるのです。
今日も、そうして二人で食べて
いた時でした。
丁「それにしても、最近、雨が
やみませんね。」
了「・・うん。」
突然、バタンッと大きな音を
立てて、このボロボロ小屋の扉が開いて、入ってきた村の人が言うのです。
村人A「最近雨がやまないから、
生贄を出すことにした。
了、やってくれるか。」
わたしは、愕然としました。
了「・・分かりました。」
丁「了⁉︎」
村人B「そうか、では、さっそく
生贄のための格好をして
禊をしろ。」
そして、禊をした了は、祭壇に
祀られた。
村長「恨むなよ。」
そう言って、毒の杯を持たされる小さな手。
了「・・恨みなど、ありません。
丁、幸せに。」
丁「了、やめて、了やめて!」
取り押さえる大人たちの手を
すり抜けて了に手を伸ばした
わたしの目の前で、毒の杯を呷り血を吐いて苦しむ了。数分後にはピクリとも動かなくなって
いました。泣き崩れるわたしを
尻目に、村の人は無慈悲にも、
その亡骸を後にしました。その
数年後に、今度は日照りが続き、生贄にわたしが出されることに
なり、村人を恨みに恨んで
死にました。
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