大切なあなたへ
□EXTRA CHAPTER
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「とりあえず、これを終わらさなな。」
と言って、取り組み始めたのだが、何せ簡単すぎてすぐに終わってしまった。
しかし、ちらりと隣を見るとペンの進み具合いが悪いようだった。
『えと、大丈夫ですか?』
「ここよく分かんねぇんだ。」
若松先輩が指を指したところは英語の問題だったのだが、他のところを見てみると、ほとんど全て間違っていた。
『‥‥‥‥今吉先輩。』
「なんや?」
スラスラと問題を解く今吉先輩に声をかけて、一つ提案した。
『これ見て下さい。』
「ん?」
先ほど若松先輩が解いていたプリントを見ると、にやりと笑ったのがわかった。
「言いたい事はわかったで。よし、若松。俺らを助けてくれ。」
「は?」
若松先輩が書いていた答えの一部はこれだった。
設問:次の動詞の過去形を書きなさい。
@ play A study B look C am D go E run
解答:@played Astudyed Blooked Camed D goed Eruned
全てにedを付けたのみ。
他にも‥‥‥‥
設問:1582年本能寺の変で”e”が明智光秀に殺された。
解答:おだしんちょう
設問:次の言葉を使って、文章を完成させなさい。
”まさか〜だろう〜”・”もし〜なら〜”
解答:・まさかりかついだ金太郎
・もしもしあなたは奈良の人ですか?
さすがにこれには驚いた。
「お前の頭脳が必要なんや。」
私と今吉先輩の考えはこうだった。
青峰君の頭に一番近い、面白い解答が考えつく若松先輩に問題を解かせ、提出する。 → 私たちが解いたのではなく、青峰君が解いたのだと思わせる。 → 先生は気付かない。
こうして、朝までかかった課題はようやく終わった。
「やっと終わったー‥‥‥‥。」
「ああ、皆お疲れさん。」
「腹減ったー。」
多分‥‥‥‥いや、絶対今回の課題で一番頭を使ったであろう若松先輩が、溜め息まじりに呟いた。
「確かにな‥‥。」
と同意する言葉に他の人も頷いていた。
私もおなかは結構空いている。
「あ、あの‥‥‥‥」
と控えめに手を挙げて良君が言った。