大切なあなたへ
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『‥‥わかってるなら、来ないで欲しかった。』
「俺は来なきゃダメだと思った。俺はお前に伝えなきゃならない。」
『聞きたくない!』
そんな、もしかしたらさつきちゃんとの事かもしれない事なんて。
自分でわかってても、青峰君の口からごめん、なんて聞きたくない。
「俺は‥‥‥‥」
『いやっ!』
青峰君の腕を振りほどいた。
すると、そんなに力を入れていなかったのか、すぐに抜け出せた。
「っ!!」
すでに荷物の預け場所に行ってしまった母の元へと行こうとした。
しかし、青峰君に先回りされ、道を塞がれた。
『どいてよ!』
「俺の話を聞けっ!!」
『わかりきった答えなんか聞きたくない!』
「わかってねぇだろ!!」
『わかるよ!!』
彼はグッと押し黙った。
久しぶりに私は怒鳴った。だから彼は驚いたのだろう。
はぁはぁ、と少し息を切らして私は続けた。
『わかるもん‥‥‥‥
中学に上がって、二人ともっとずっと一緒にいるようになってから感じるようになった。私は二人の間には入れないって、壁があるんだって感じた。
あの時だってそう。青峰君がさつきちゃんを抱えてる時、不謹慎だけど、お似合いだなんて思った。劣等感を感じた。
その時思ったの。叶わないなら、せめて身を引こうって。二人を見て心が痛くなるんだったら、二人から離れようって。
二人の事を応援しようって、そう決めたの。』
だめだ、泣くな。
落ちてきそうな涙を堪えるため、下唇を噛み締めた。そして、下を向いた。こんな姿を見られたくなくて。
すると、ふわっと温もりが全身を包んだ。
青峰君に抱きしめられてると気付いた時には、青峰君が口を開いていた。
「俺は、さつきを大事だと思ってる。それは嘘じゃねぇ。」
ギュッと目をつむった。
ほらやっぱりなんて思いながらも、傷付いてる自分がいた。
「でも、それは幼馴染みとしてだ。あいつの事は、妹ってか、なんか家族みてぇな感じなんだよ。」
『嘘‥‥』
そんなの今はいらない。
話すなら本当のことを話してよ。
「嘘じゃねぇ。それにさつきはテツが好きだしな。」
『う‥‥そ‥‥‥‥。』
「はぁ‥‥‥‥俺にだっているんだぜ?それをお前に伝えにきたんだ。だから、もう逃げるな。
好きなんだよ、お前の事が‥‥‥‥。」
『っ!!!!!』