大切なあなたへ
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小一時間ほど経っただろうか。
携帯の振動を感じ、ポケットから取り出すとさつきから何件もの不在着信がきていた。
チッと軽く下を打ち、結局何もせずにベンチの上でボーッとしていただけの腰を上げ、控え室へと向かった。
「青峰君!!」
「青峰っ!!」
扉を開けた途端に大声で浴びせられる罵声を無視し、ベンチへと腰掛けた。
「毎回毎回、電話にちゃんと出てよ!!」
「今の今までどこにいたんだよ!!」
あー、うるせぇ。
「ちゃんと来たんだから別に良いだろ。つか、さつきがテツんとこに行ったりするから、電話なんてわざわざメンドイ事する羽目になるんだよ。」
「そ、それは‥‥‥‥」
テツたちと話した後、さつきが急に出てきてテツに抱きついた。
そして、途中まで一緒に行こう。とかなんとか言って、テツの腕を組んで歩き出していた。
一緒に行く気もなかった俺は、そのままベンチへと向かったのだ。
「青峰君がついてくればよかったんじゃない!!」
「はぁ?何で俺がそんなことしなきゃなんねぇんだよ!!」
「いつも迎えに行ったりしてるんだから、それくらいの事はしてよ!」
「俺は一度も迎えに来いなんて言った覚えはねぇ!」
「迎えに行かなかったら、いつも完全に遅刻なんだもん!!」
「っんだと!?」
「はいはい、そこまでにして下さい。」
さつきといつものようなくだらない言い争いをしていると、パンパンと手を鳴らす監督に止められた。
ふと思い返せば、ここは控え室なので結構な数の部員に見られていたのだ。
「さて、では今日の試合の事について話ときましょう。」
「あ、俺パス。暇だから外行ってくるわ。」
そんなことして相手の事知ったら余計に張り合いなくなるじゃねぇか。
毎回毎回よくやるよな。
「またかよ!!」
さっきからうるせぇよ。
ガタガタぬかしてんじゃねぇよ。迷惑だっつの。
「では、アップすませたらそのまま会場の方に来て下さい。」
「うーっす。」
適当に流すか。