大切なあなたへ
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「ハァ、ハァ、ハァ、ハァ、ハァ」
『ご、ごめんテツヤ君。ちょっと、スパルタ過ぎた?』
「い、え。だい、いじょうぶ、です。」
少し相手をするつもりが、本格的にバスケの練習を始めてしまい、テツヤ君はすごく疲れていて、今すぐにでも倒れそうだった。
『ちょ、もう今日はおしまいにしとこ?』
「は、い。」
とりあえず、テツヤ君をベンチの方へと座らせ、私も隣に座った。
スポドリと余りのタオルを渡して、テツヤ君が落ち着くのを待った。
「その、すみません。スポドリやタオルまで。」
少し息が整っただろうか。
テツヤ君は頭にかけたタオルから少し顔をのぞかせ、私に言った。
『タオルはもう一つあるから気にしないで?スポドリだって、足りなければ自販機でポ●リとか買えばいいだけだし。』
それに、私はあんまり動いてないしね。と言葉を続けた。
私はテツヤ君の新技のために、ほとんど指導メインでやっていた。
そのため、ずっと立っていた足は少し疲れてはいるものの、汗もほとんどかいていない。
「なんか、中学の時に佐倉さんに指導されていたのを思い出します。すごく辛かったですけど、すごく楽しかった思い出です。」
男の子にこういう事言うのは失礼かもしれないが、ふわりと笑ったテツヤ君は可愛かった。
『私はもう少しバスケしてるけど、テツヤ君はどうする?帰る?』
「佐倉さんが終わるまでいますよ。あなたのバスケは見ているのも面白いですから。」
そう言われると、帰れと強制できないじゃない。
なんて考えながら、わかったと軽く返事をし、転がってるボールを手に取った。
『WCまでには完成させなきゃね。違うチームだけど、テツヤ君の事は応援してる。でも、負けないよ?』
「はい。」
こういう会話もたまには悪くないかな、なんて思った。
「黒子?」