大切なあなたへ

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「はっ?え?なんて?」

『甘いって言ったんです。』


フェイクを入れられただけで動揺する。
動きを予想すらしない。
止められると思い過ぎ。



『まあ、最後のはよかったとは思いますが、それでも、身近にさっきの動きをする人がいたんですから、いちいち驚かないで下さい。あと、女子だからってなめないで下さい。少なくとも、私はあなたたちよりは上ですので。』


言い終わった後、今吉先輩の方へと向かった。


「さすがやな。」
『正直、ちょっとがっかりです。でも、強くはさせます。今日はどちらにしろ見学だけのつもりだったので、これで失礼させてもらいます。』



私は体育館を後にした。


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うわっ、ヤバい。明日筋肉痛かな。

本気でやってないとはいえ、女バスの件があってからバスケ全然してないしなぁ。



男バスの方はまだ見込みはあるかな‥‥‥‥

はじめは少しなめてたみたいだけど、後々から敬意みたいなの出してたし。

私の方が上とかって言ったけど、男子の方がポテンシャルは上かもしんないし‥‥‥‥。

それでも、抜かせてはあげないけど。


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〜今吉side〜


「いやいや、ホンマにすごかったなぁ。」

多分、この中で勝てる奴誰もおらんやろうしな。

「っつか今吉先輩、絶対あの子の事しってたっすよね!?」

そりゃまあ知らんかったら、若松たちやのうて別の奴にやらしてたしな。

「さっきは遮られて言われんかったけど、あの子は”影姫”や。」


「えっ?あの噂の!?」
「何だそれ、”影姫”!?」
「知らねぇの、お前!?」
「俺も知らね。」

知ってる奴と、知らん奴、結構まっぷたつに割れたなぁ。

「”影姫”っちゅうのは、キセキの世代の一人や。女子やから試合には出られへん。やけど、キセキの世代と対等に渡り合えて、キセキの世代を陰ながら支えてた。それが”影姫”。あいつは桃井と一緒にマネージャー業もやってたみたいやけど、メインは今みたいな指導や。」


あいつがおれば、ワシらは皆確実にレベルアップできる。
いやー、勧誘しといてよかったわー。



「あれ?晴香は?」


お、桃井。
もう仕事終わったんかいな。
相変わらず早いなぁ。

「もう帰ったで。ある程度実力は見してもらったし、ワシもオーケー出したけど、なんかあいつに用あったんか?」

「いえ。今日は一緒に帰ろうかと思っただけです。それより、晴香どうでした?どこまで出しました?」


どこまで?
何や、なんか意味深な言い方やな。


「若松と桜井とで2on1させたら、フェイクとか色々入れ交ぜたり、ダンクからのスクープショット。青峰のバスケとなんか似てたで。」

「‥‥‥‥‥‥‥‥はぁ。」


桃井が溜め息をつき、佐倉が出て行ったであろう体育館の扉を見ていた。

「なんかおかしかったか?」
「晴香が、なんですけど。」


どうゆう事や?


「あの子、青峰君と同じプレーをする事が出来るんです」

まあ、それはさっき見させてもらったけどな。

「けど、ほんとの晴香のプレーはそっちじゃありません。もう一つ、別にあるんです。」


「「「「「「「えっ!?」」」」」」」


まだ、あれよりすごいのがあるんかいな‥‥‥‥


「そっちを出してないという事は、本気じゃないという事です。私は晴香の本気を、結構前から‥‥ずっと見てないので‥‥‥‥。見れたらな、と思っただけです。」



あれが本気じゃない、てか。
はは、今年の1年はおもろい奴ばっかやなぁ。
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