大切なあなたへ
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警察に連絡し、あとは待つだけ。
なのだが、私は心配で心配でしょうがなかった。
部活は中止。
もちろんバスケ部だけではなく、他の部活の人たちも、学校に残っていた全ての人たちはすぐに家に帰された。
外には出ないよう釘を刺された。
わかってる。わかってるけど‥‥‥‥!!
警察や、学校、さつきちゃんの家から何の連絡もないまま時間だけが過ぎていった。
私はこっそりと家の抜け出し、夜の街を探しまわった。
学校以上に広いのだから、簡単に見つかるわけがない。
しかし、誰にもバレず、警察も見つけにくい場所となれば限られてくるはずだ。
とにかく思いつくまま、がむしゃらに探しまわった。
もう、夜の2時が過ぎようとしていた。
息を切らしながらも走った。
こんなに遅いと電気が付いている家なんかほとんどない。
街頭だけが薄く光っている。
怖くないわけがない。
普段ならもう寝ている時間だ。
外に出た事なんかない。
周りを見るために頼りにしている街頭ですら怖く感じてしまう。
怖かった。
だけど、さつきちゃんの方が怖い思いをしているに決まっている。
そう思えばいくらかマシになった気がした。
今度は向こうの方に行ってみよう。
走っていた足の方向を右に変えようとした時だった。
ドンッ
誰かにぶつかってしまった。
ん?誰か?
こんな夜遅くに出回る人はほとんどいないはずだ。
私は転けていた体を急いで立たせ、前を向くと、そこには黒い人物が私と同じように立ち上がろうとしていた。。
『ご、ごめんなさい!大丈夫ですか!?』
立ち上がろうとしていた人物に、急いで手を貸そうと伸ばすと、引っ張られ、抱きしめられてしまった。
『キャッ!えっ!?ちょっ!!』
放してと腕を突っ張るが、さらに強い力で抱きしめられている。
「心配させんじゃねぇよ!!お前までいなくなったと思ったろーが!!!!」
急に頭の上から怒鳴り声が聞こえた。
『だ、大輝君‥‥。』
いるはずのない人物がいて、ビックリしてしまった。
「いつもなら寝てる時間帯なのに、電気付いてるから心配になって電話かけたのに繋がんねぇし。悪ぃと思いながらも窓から入ったら案の定いないし。ぜってぇさつきの事探しに行ったと思って、探しに行ってみりゃあ、ちょこまかちょこまかと、でたり消えたりすんだから‥‥‥‥」
くどくどと文句を言う大輝君は、本当に心配してたんだなって思わせるから、罪悪感を感じた。
だけど、私もこれは譲れない。
『ごめんなさい。でも、私の所為だから!私がさつきちゃんの事しっかり確認していれば、こんな事にはならなかったから!!せめて‥‥‥‥せめて、早く見つけなきゃって‥‥‥‥。』
言っていて思った。
こんな事言ってもやっぱり呆れられるしかない。
「‥‥‥‥はぁ。」
‥‥‥‥‥‥やっぱり。
『心配かけてごめん。でも、私は大丈夫だから。大輝君はかえっ「ほら行くぞ!」や、やだ!!』
まだ、見つかってないのに帰れない!!
「何言ってんだよ。つか、こんな夜中に女だけってのが危ねぇんだ。俺を呼べよ。別にさつきの事心配なのお前だけじゃねぇんだしな。」
えっ?
『い、一緒に来てくれるの?』
「ったりめぇだろ。ほら、何となくここかなってとこあるんだよ。さっさと行くぞ!!」