SHORT STORY

□青峰の彼女
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青峰が小さな生き物を抱き締めたのだ。
否、青峰と30~40cmほど離れた小さな女の子がそこにいたのだった。





『ゴメンね。私も維持張っちゃった。』
「もういいって。俺が悪かったって言ったろ?」






周りの事など全く気にしていなかった二人だが、途中で彼女は気付いたようで、パッと顔を赤らめた。






『す、すみませっ!!!お邪魔でしたよね!!!』
「いいって、そんなの気にすんな。邪魔っつったやつは俺が潰す。」





潰すと言った青峰の顔は、先程の怒っていた顔と同じだった。
ブンブンと左右に振る部員たちを落ち着かせるために、ダメだよ、と李璃が青峰を宥めていた。








『それより、今は部活動中でしたよね?時間を削ってしまい、すみませんでした。』
「あ、いや、大丈夫だ。」
『そうですか?優しいですね。』







思わぬ言葉に戸惑いを隠せない部員たちだったが、にこりと笑った李璃に見惚れていた。








「「「「/////////」」」」








そんな彼らの表情に気付かない青峰ではない。
すぐさま李璃を後ろに隠し、睨み付けた。




















「男の嫉妬は醜いって言うよー。」







桃井が茶化すと、気にしていたのかカッと顔が赤く染め、ちらりと後ろを見た。
嫌われたかもしれないと思ったのだろう。


しかし、李璃の反応は逆だったようで、嬉しそうにしていた。







『それだけ私の事を好きってことでしょう?すごく嬉しい!!』
「なら、いい………/////」





照れた青峰の表情は、部員が誰一人見たことのないものだったので、ビックリしていた。








『ねぇ、大輝君がバスケしてるところ見てみたいんだけど、見学ってしてもいい?』





突然、お願いしてきた李璃にビックリとした。
見学くらいなら別に支障はないが、問題は別にある。


青峰が部活などするはずもないのだ。


しかしキラキラしながら頼む李璃を見て、部員は誰もダメだとは言えない。
そんな空気を感じていなかったのか、若松が口を開いた。







「いや、でも、こいつサボって「当たり前だろ。」‥‥‥‥は?」







若松の言葉を遮った青峰は、遠回しに言えば”部活をする”と言ったのだ。













もう何も言えなくなった彼らをほおった青峰は、彼女を連れて体育館の舞台の方へと向かった。
そして、李璃を上へと座らせると、








「見とけよ!?頑張るから!!」
『うん!頑張ってね、大輝君!!』












部員の事などもうお構いなしの二人は、にこやかにバスケを楽しんでいた。
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