ずっとキミを想ってた
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「かかってこい!」
『私、全然できないんだけど!』
カバンを置いて、一人でダムダムとボールをついたかと思うと、私にボールを投げた。
そして、1on1をしろと言うのだ。
「オレが教えてやるから、とりあえず来い!」
しょうがないな、なんて思いながらもボールをついたが、つま先に当たって端っこの方まで飛んでいってしまった。
「‥‥‥‥ブッ」
『笑うなぁ!』
「アハハハ。ワリィ、ワリィ。お前勉強はできるのにな、って思ったらさ。」
『どうせ、勉強しかできませんよ!それに、私はスポーツはやるんじゃなくて、見る専門なの!』
「アハハハ、そうかよ!」
パスくれと、手で主張した火神君に、持っていたバスケットボールを嫌みを込めて、力一杯投げた。
けど、全くそんなことなど気にしていない火神君は、受け取ったボールをダムダムとうち始めた。
ガンッ
気持ちのいい音が響き、スタンと着地した火神君が振り返った。
「試合、見に来いよ!今週末にIH予選の決勝リーグがあるんだ。ぜってぇ負けねぇからよ!」
『いいよ!見るのは好きだし、火神君がダンクしてるところを見るのも好きだしね!』
「そりゃ、どーも。っと、もうこんな時間か。帰ろうぜ!」
帰ろうぜ、って火神君が誘ったんじゃない。
そう言うことは思っても口には出さず、先に歩き出してしまった彼のもとへと、私は走っていった。