隣の君に伝えたい
□Prologue
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私の朝はいつも同じ。
起きて、顔を洗って、ご飯を食べて…
そんな当たり前のことをしてから学校に向かう。
でも、私が日課にしていることは、他の人とはちょっと違う。
いつも通りHRが始まる1時間くらい前に教室につき、窓際の一番後ろ。おそらく一番いいと言われるであろう席に座る。
ここが私の席だ。
なんでこんなに早くに学校に行くかは、窓の外を見ればわかると思う。
そこからは毎日、私が来るよりも早い時間から空いている体育館が見える。扉だけではなく、2回についているたくさんの窓からも、男子バスケットボール部が一生懸命練習しているのがわかる。
それを見るのが私の日課なのだ。
しばらく見ていると、教室に人が入ってきた。
それを合図に、机に置いてあった本を手に取り、開く。
けれども、内容が頭の中に入ってくるわけでもなく、ただ自身の視線を体育館に向けていることを悟られないようにするためのガードみたいなモノだ。
だんだんと人が集まり、ガヤガヤと人の声が教室にいっぱいになるまでそれは続いた。朝早くから練習していたバスケ部の人たちも席について、先生が教室に入るというところで、バタバタと騒がしい音が聞こえ、先生よりも先に教室の扉をがらりと開けて一人の生徒が入ってきた。
「よっしゃー、セーフ!!」
「今回”は”、だ!!毎回毎回、もう少し早く教室に入ってこい!他のバスケ部の奴らはもうとっくに席についてるぞ!」
「げっ!なんでお前らそんなに早いんだよ!?つか、緑間は赤司とカントクとでミーティングしてたじゃねぇか!!」
「バカめ。終わった後もバカみたいに1on1をしているからだ。俺も赤司も時間を考えて行動しているのだよ。」
教室中に笑いが広がる。
いつもギリギリまでバスケをしている彼は、毎回HRに遅れるので、その度に先生に怒られるのだが、最善する様子も見られないので先生も言うだけでもう諦めている。
彼が私の方へ向かって歩いてきた。
隣の空いているせいに座ると私の方に顔を向けた。
もちろんそこは彼の席で、その机にはバスケ関係の落書きがたくさん描かれていた。
「おはよう、桃江」
『おはよう、青峰くん。』
これが私の1日の始まりだった・