階段を上るアシオト
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『うわっ…すごい』
少し待っていてください、と黒子に待たされて数分。なにやら小さなカプセルを手に持って戻ってきた。
なんでも、魔法使いだからといって何から何までできるわけではないらしい。何か物がなければ別のものに変えることはできないし、もちろん、死人を生き返らせることなんてできない。
外に出て、そのカプセルを地面に置くと、黒子は何かの呪文を唱えだした。
そして、ポンッと現れたのが、今まで見たこともないくらい立派な車と、その運転手。そして綺麗なドレスだった。
「さぁ、これに着替えてください。急がないとパーティーの時間が短くなってしまいますよ。」
琴葉は自身の部屋に入って、急いで着替えた。慣れない服に着替えるのは思ったより時間がかかってしまったが、なんとか着替えることができ、黒子の元へと戻っていった。
『着替え、終わりました。』
「……。」
琴葉をしばらく見つめていた黒子に、彼女は何かおかしなところでもあったかと不安になったが、すごく似合ってます、という言葉にうれしくなった。
「最後にこれを。」
そう言って差し出してきたのは透明なガラスの靴。すごくキレイで、見惚れてしまう。
「0時の鐘がなったとたん、徐々に魔法が解けてしまいます。それまでに帰ってきてください。」