大切なあなたへ
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後日、手続きをし直すために学校を訪れた。
しかし母は私が日本に残ることをわかっていたのか、それとも、ただ間違えただけなのか、退学届けではなく、停学届けを出していたようだった。
まあ、今は冬休みで学校はないんだけど。
もう日本には戻ってくるつもりはなかったので、家は売ってしまった。
なので、しばらくは大輝の家にお世話になることになった。
「晴香!風呂空いたぞー!」
『はーい。』
大輝のお母さんには歓迎され、さつきちゃんには、うちに来ればよかったのに…何て言われたが、戻ってきてくれて良かった、とも言われた。
WCでは、テツヤ君達が危なげながらも優勝し、幕を閉じた。
『上がったよ。』
「ん、こっちこい。寝るぞ。」
部屋の数が足りなかったので、大輝と一緒に寝ている。
布団があるなら、それで良い。と言ったら、お前の場所はここだ、なんて言われて、恥ずかしかったが、嬉しかった。
それ以来、大輝と同じベッドで寝るようになった。
『ねぇ、大輝。』
「ん?」
『ありがとう。』
「どうしたんだよ、急に。」
『大輝がいなかったら、私はここにいなかったんだなって。』
「もう、離さねぇよ。離せって言われても離さねぇ。」
『うん。』
その日は、ギュッと抱きしめ合って寝た。
私は大輝の温もりに包まれ、安心しきって寝た。
明日からは学校だ。
これからも毎日大輝と一緒にいられる。
前みたいに距離を開ける必要もない。
さつきちゃんにも隠し事をする必要もない。
バスケ部にだって、堂々といられる。
今吉先輩たちが引退してからというのは心が痛むが、これからの桐皇のバスケ部に貢献出来るならよろこんでやる。
あの時に大輝とさつきちゃんが私を見つけてくれたから今がある。
あなたと会えたから、私がいる。
アメリカにいたいと言っていた私へ。
日本での出会いを大切にして?
あの時公園にいた私へ。
今、そのときの出会いを忘れないで?
体育館から去った私へ。
その時に感じた心を捨てないで?
今の私へ。
これからの未来も大輝を大切に想ってて?
そして‥‥‥‥
大切なあなたへ。
『Thank you for having discovered me, Daiki.(私を見つけてくれてありがとう、大輝。)』
これからもずっと、私の事を見失わないでね?
大好きだよ。
私はそっと唇を落とした。
FIN.
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→あとがきです。