大切なあなたへ

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青峰side

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知らなかった。
あいつがどう思ってたかなんて。

知らなかった。
あいつが何をしてたかなんて。

知らなかった。
あいつが何で俺を避けてたのなんて。


…………違う。
知らなかったんじゃない。知ろうとしなかったんだ。
近付いたら逃げられるんじゃないかって…………ただ怖くて。
だから、あいつが俺らから距離をとったのに気付かなかった。

関係が壊れるのが嫌とか思っときながら、自分で壊したんだよな…………

テツの口から‘アメリカ’って言葉が出てきて、ドキッとした。
佐倉の手紙に書いてあったのは、こういうことかって思ったからだ。


テツたちと戦った後、外でボーッとしてると、さつきが来た。
来るはずがないと思っておきながら、佐倉だと期待してた自分をバカだと思った。
拒絶したのは自分なのに‥‥‥‥。


「大ちゃん………これ。」

買い物の話を終え、少しの沈黙の後にさつきがポケットから何かを出した。

「……………」

シンプルな手紙だった。





もしかしたら、もう戻らないかもしれない。

それでも今伝えなきゃ、伝わらない。
後になってからじゃ、もう遅いんだ。


「佐倉…………」


家に帰ってすぐにパソコンを開いた。
らしくもなく、自分で調べた。

空港名とフライト時間を入力して、
中に入る時間を見つけた。

どうしたの!?なんて、俺が調べてる間に帰ってきた母親に驚かれたが、放っておいた。
まあ、何か察したんだろう、それ以上は何も言ってこなかったが。



明日は遅刻しないよう、早めに寝た。
あとは、あいつを探して伝えるだけだ…………
 

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