大切なあなたへ

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誠凛side
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「「「「ワァー!!!」」」」


俺らがベンチについた頃、桐皇学園が会場に入ってきた。



「すっげぇ。さすがIH準優勝校。」
「狼狽えない!わかってた事で‥しょ。」


横にいる桐皇学園の方を見て言うレギュラーにカントクは言い放とうとしたが、彼らの顔を見て微笑んだ。

「時間です。両校整列して下さい。」

そう言われてベンチから離れた彼らを見て、頼もしく思えた。
初めてのIH。緊張していないわけではないが、皆思っている事は一つだ。


「よう。」



火神が整列場所に立つと、先に整列していた青峰に声をかけた。
その青峰は火神の顔を見るなり、口角を上げた。


「ふーん。あいつの言う通り、ちょっとはマシになった見てぇだな。」


”あいつ”、と言うのはよく分からないが、火神が成長している事はみんな知っていた。



「あぁ、まあな。」


そう答えた火神を見ていた。若松が不思議そうな顔をしていた。
そして、青峰は火神の隣に立った黒子を見た。
その様子に気付いているのかはわからない黒子は、自身の目をスッと閉じ、何かを思っていた。


帝光時代、同じコートに立ち、拳を合わせていた事。
笑っていた青峰。

才能が開花し、拳が離れていったこと。


IH予選、青峰に言われた事。
負けた事。



火神に言われた言葉。
火神と拳を合わせた事。


そして‥‥‥‥


あの人の涙。


「今度はもう、絶対に負けません。」



閉じてた目をゆっくりと開けて言葉を発した黒子は、しっかりと青峰を見据えていた。




ビーッ

「それでは、これより誠凛高校対桐皇学園高校の試合を始めます。」



「「「「「「「「「よろしくお願いしますっ!!」」」」」」」」」
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