大切なあなたへ
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『キセキの世代だけが開花したってわけじゃないからね。』
俺たちが開花したように、佐倉の才能も開花したというのか。
俺と同じように、バスケをつまらないと思っていたのだろうか。
キセキの世代、影姫。
あいつがそう呼ばれていたのは、女子にしては強すぎると言うこと。
そして、俺たちと同等に戦えたということ。
佐倉自身、そう呼ばれていることに抵抗を感じ、自分のことだとは思っていない。
それでもやっぱり、キセキの世代と呼ばれるだけの才能があるのだ。
『………やっぱり、変わんないね。』
「何がだよ。」
佐倉が言いたいことはなんとなくわかった。
だけど、自分でもよくわからないまま、あいつに聞いていたのだった。
『もういいよ。』
「…………は?」
佐倉は俺と対等に戦えていたはずだ。
だけどあいつも、俺との勝負を諦めるのか?
「ふざけんなっ!!まだ終わってねぇだろ!?」
『これ以上やっても、無駄だと思ったからもういいって言ったの。』
「本気も出してないのに、なに言ってんだよ!!」
『青峰君も、でしょ?』
俺も本気にはなっていない。
それは当たっているが、これから出せばいい。
それに‥‥‥‥
「お前なら本気出せると思ったんだぞ!?」
佐倉になら全力を出しても、受け止めてくれるって………!!
『だけど、本気では楽しめない。』
「っ!?」
何で…………
『本気でやって、楽しめて………確かに出来るかもしれない。けど、そんな風に誤魔化しても限界はいつか来るの。』
俺は、なにも言えなくなった。
『ポジション的にも、私の能力的にも、青峰君とは合わないの。…………それ以前に、男女の差っていうのは埋まらないんだよ。だから…………」
だから………何だよ。
『だから、タイガ君たちに任せることにしたの。』