大切なあなたへ

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しばらくバスケをしていると、話し声が聞こえてきた。



「ねぇ、待ってよ!」
「早くしろよ!先にはじめるからな‥‥‥‥。」
「どうしたの?」
「誰かつかってる。」
「あ、ほんとだ。‥‥‥‥女の子?」


青い髪の男の子と、桃色の髪の女の子がフェンスの向こう側に立っているのが見えた。



私は無意識に

『Oh, sorry. If you wanna play on, come on in!』

と、英語で話していた。




「えっ?‥‥ちょっ、おい、さつき。なんて言ったんだ?」
「わ、わかんないよ‥‥。外国から来た子なのかな?」


はじめは、コソコソと話されていて気分が悪かったが、英語で話しかけていたことに気付き、すぐに日本語に直した。



「ごめんなさい。英語で話すのがクセになってて。コート使いたかったら入って?」





日本語になったのが安心したのか、2人はホッとしていた。




「えっと、日本人‥‥‥‥?」



コートに入るなりいきなり口に出した言葉は、私に対しての質問だった。
さっき英語で話しかけたことが疑問になったのだろう。


『うん、日本人。でも、生まれてからずっとアメリカだったから、つい英語がでちゃうの。』
「すげぇ!!お前アメリカにいたの!?なぁ、向こうってバスケ強いのか!?」



青髪の子はバスケットボールを持っているあたり、バスケが好きなんだろう。
さっきの表情とは打って変わって、きらきらとした顔で聞いてきた。




『うん!小さい子とかも皆やってるし、大人の人はみんな強かったよ!』


「お前も強いのか!?バスケできるんだろ?一緒にやろうぜ!!」



ここに来る前に頭にあった母の言葉なんか、もう忘れていた。
ただ今は、目の前にいるバスケ好きの子とバスケがしたかった。




『うん!私、佐倉晴香。よろしく!』
「青峰大輝だ!!」
「桃井さつきです!私はバスケできないんだけど、でも、よろしくね!」






これが私達3人の始まりだった。

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