SHORT STORY

□お前も頑張れ
1ページ/3ページ







「なあ、李璃好きな奴いねぇの?」



同じクラスで、一昨日から隣の席になった、青峰君が聞いてきた。





『‥‥‥‥いるけど。なに?』





彼と話した事はあるが、数えるほどしかない。
そんな彼が、急に私に話しかけてきた事に驚いた。






「いや、別に。気になっただけ。」



ふーん。






ちなみに今は授業中だ。

珍しく授業を受けたと思いきや、教科書がないと言う事なので机をくっつけて私のを見せている状態だ。




『じゃあ、逆に青峰君はいないの?』



「俺?」






ポリポリと顔を掻く彼は少々照れているようだ。




「俺もいる、好きな奴。」





ツキリと胸が痛んだ。














「どんな奴なんだ?」



青峰君の一言一言に反応してしまう。

私が好きなのはあなたです。








なんて言えるわけがない。


『カッコいい人だよ。ちょっとバカだけど、そこも可愛いし。』



「ふーん。」




興味がなさそうに彼が呟く。



『青峰君は?』




そう聞いたのは私の興味本位でもあったし、青峰君の好みを知ろうという事でもあった。




「それ、言わなきゃダメか?」
『私は言ったよ?』



「‥‥‥‥‥‥ちっこくて可愛い。あと、何かを一生懸命にやったりしてる。」




誰だろう。
私は気になってしょうがなかった。






「誰が好きかとかわかんねぇけど、やっぱ好きなのはやめらんねぇし。」







『じゃあ、告白とかはしないの?』


「した方がいいか?」


『まあ、付き合いたいと思うなら。』



「‥‥‥‥俺でも大丈夫か?」


『青峰君と付き合いたいと思ってる子なんていっぱいいるよ?それに、青峰君優しいしね。』




「そっか。じゃあ、俺明日告白する。」





言って後悔した。

青峰君が告白して断る人なんているわけないじゃん。
という事は、青峰君が誰かに取られるという事。
すごく嫌だった。







それでも、青峰君が困った顔を見るのは嫌だし、
何より、振られるのがわかっていて告白するなんてそんな無謀な事できない。





「俺、頑張るわ。お前も頑張れよ。」
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ