階段を上るアシオト
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(あぁ、めんどくせぇ。なんでこんなことしなきゃならねぇんだ。)
一人になれる場所を探して、バルコニーにならいないだろうと踏んで行った場所には一人の女がいた。
ただ、どけ。と一言いうだけのつもりだった。
けど、うまそうに飯を食ってる姿を見て、気付いたら声をかけていた。戸惑いを隠せない彼女に皇子のところに行かなくていいのかと尋ねてみたら、想像もしていなかった答えが返ってきた。
『食事をしにきた……といったら、怒ります、か?』
そこからだった。
俺のことを仕事中の下級の働き人だと思って接してくる彼女に興味を持った。そんな奴は初めてで、新鮮で、時間が経つのを忘れてしまうほどに、楽しかった。
しかし、俺が彼女に名前を聞いた後になった鐘を聞いた彼女は焦り、走り去ってしまった。
門衛がその後に、慌てて飛び出していった女が忘れていったものだと言って、渡してきたのはガラスの靴だった。それを頼りに、彼女を探したが見つかることはなく、家臣は戻ってきた。けど、諦めきれなかった俺は、赤司たちに頼んで、このパーティーを開いた。
そして、ようやく見つけた。
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「あの日からお前を忘れたことはないし、皇子だと知ってからも媚びてくることのない琴葉に嬉しくなった。こんな感情を抱いたのは初めてだ。」
期待をしても、いいのだろうか。
私は気持ちを、出してしまってもいいのだろうか。
でも…………
「俺と…『私は大輝さんに似合う身分も、容姿も…何も持ってない。』」
そう、釣り合うわけがない。皆に認めてもらえるはずがない。
「気にしねぇよ。お前は十分可愛いし、身分なら、どっかの養子にしてもらえばいいだろ。」
青峰の目は本気だったが、それでも、琴葉は自身が本当の貴族にも王族にもなることはできないのだと言った。そのせいで、青峰の名前に傷がつくのが嫌なのだ。
「その必要はないよ、大輝。」
後ろに立っていた青峰の父が口を開いた。