階段を上るアシオト
□Prologue
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『ねぇ、おかあさんはどこにいっちゃったの‥‥?』
「お母さんは‥‥遠いお空に行っちゃって、帰って来れないんだ」
『とおい、おそら?わたし、おかあさんにあいたいよ』
「‥‥‥‥ごめんね」
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母は病弱で、私を生んでからさらに病状が悪化。それでも懸命に生きた母だが、私が5歳の頃に亡くなった。
幼かった私は状況を飲み込めなくて、父に何度も尋ねていた。
そんな私を見兼ねて、父は再婚した。
しかし、その父と再婚した女の人は、父がいない所で私を邪険にしたが、父は全く気付かず、仲のいい家族を装っている彼女らを不審にすら思わなかった。
その父は、母を追うようにして、数年後に亡くなった。