依存している。
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「おい!!アルトはおるか!?」
そう言ってドアを蹴破ったのはモンキー・D・ガープだった。
アルトの一ヵ月半不在の間は全てヴァクトがフォローしていて、本部に帰ってきたアルトはヴァクトにみっちり怒られた。
上下関係なんて問題にしていないヴァクトの怒りに押されながらアルトはここ何日も仕事に追われていた。
ガープが来た今もそれは変わらず、アルトは机に座ってびっくりした顔でガープを見つめていた。
『いるけど…』
「おぉ!!今から『ウォーターセブン』に行こうと思うのじゃがお前もどうだ!?」
『なんで「ウォーターセブン」?』
「ちぃと、ルフィを見にな」
先日、麦わらの一味は世界政府を敵に回す大きな事件を起こしていた。
様子を見に、というところからガープは一応、自分の孫を心配しているのだろうか。
そう思ったアルトだが、その考えはガープの言葉で塗り替えられてしまう。
「説教してやらねばのぅ」
『あんた…ただ殴りたいだけだろ…』
拳に息を吹きかけながら少年のような笑みを浮かべるガープに苦笑を送ると、アルトは視線をヴァクトに移した。
行きたい、のだが彼が許してくれるかどうかは別だ。
「いいですよ。行っても」
『まじで!?』
「えぇ、仕事も終わってますし…」
『じゃあヴァクトも行こうぜ!!』
バスターコールがかかったものの、行かねばならない5人の中将に含まれなかったアルトはウォーターセブンの様子を放送で知ることしか出来なかった。
ウォーターセブンがどんな惨劇になっているのかが気になるアルトは音符を出す勢いで肩にコートをかける。
「というか、どうしてガープ中将が麦わらの視程に?」
「ルフィはわしの孫じゃ」
「まじスか!」
そんなに言いふらしても良いのだろうかと疑問に思ったが、本人が言ってしまったので良いことにした。
ヴァクトが「あなた知ってたんですか!?」という視線をアルトに送っている。
――さぁて、ニコ・ロビンの報告でもクザンにしてあげようかな〜
気分はすでにウォーターセブン。
ヴァクトの疑問の視線を無視しながらアルトは体を伸ばしながら廊下を歩き出す。
今回、アルト側からは二人しかでかけないためガープの船に乗せてもらうことにした。
いつも被っている犬の帽子を被ったガープは、それと同じデザインをした船を動かすように部下に命令する。
その中には若い海兵が二人。
金髪のヘルメッポとピンク髪のコビーの二人組は見違えるほどの進化をしたとアルトは感じた。
何ヶ月か前に会ったときよりも身長も伸びているし筋肉がついている。
「あ、アルト中将!!お久しぶりです!!」
『いいね、君達。ちゃんと筋トレしたら筋肉ついて…』
「ど、どうしたんですか…?」
『おれ筋肉つきにくいんだよね〜。羨ましい』
寄ってきたコビーの腹筋を触りながら呟くアルトは拗ねたように唇をとがらせた。
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