依存している。

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どこにいるのかまったく検討がつかないわけでもない。
アルトは青雉がニコ・ロビンのことを気にしていることを知っているし、ニコ・ロビンが麦わらの一味にいることも知っている。
だとしたら青雉は麦わらのいるところにいるかもしれない。


そこまで計算して東の海まで飛び、アラバスタからの彼らの進路を予測して飛んでいた。
正直、ここまで上手くいくとは思っていなかった。




目の前には佇む青雉と全身で怒りを表している麦わらのルフィ。
他の仲間はその場には居らず、二人がなんともいえない空気をかもし出していて、アルトはその場に行くことが出来なかった。
仕方なく近くの木の枝に座り、喧嘩の様子を眺めているが、声までは聞こえてこない。


拳を両方の手で作っているルフィの右手は、すでに青雉の能力で凍っていた。



――勝てるわけないのに。


すでに結果は分かっている。
だがアルトはもしもの展開を少しだけ期待していた。
ガープの孫であり、革命家ドラゴンの息子であるルーキーが青雉をこの場で倒してしまったらどれだけ面白いことになるだろうか。
100%そんなことはないと思っているのに、心臓はドキドキと高鳴っていた。


雄たけびを上げながら青雉の方へ走ったルフィはそのまま青雉を蹴り上げる。
自分の体を膨らませ、たくさんの拳を入れた。



が、そのまま重力に抵抗しないで降りてきた青雉に抱えられ、ルフィは全身を凍らせてしまった。



――早い決着だ。少し買いかぶりすぎてたな…。



少し残念に思いながら、アルトはそれでも視線を外さない。
目の前の青雉は凍ったルフィの前に座り込み、何かを言った後に立ち上がり、ルフィの近くに寄った。
片足を上げ、止めを刺すような格好をする。
振り下ろされた足で氷が割られ、辺りに大きな音が響き渡る。



「アルトちゃーん。下りてきなさーい」

『迎えにきましたぜ。大将殿』

「君ねぇ…。一ヶ月半もどこにいってたわけ」

『……ちょっと散歩』

「あらそう?」



青雉の足によって粉々にされた氷を踏みしめ、アルトは都合の悪そうな笑みを浮かべた。



『あんたこそ、殺さなくて良いの?』

「借りがあるからな」

『借り?』

「そ、クロコダイル討伐の件だ」

『あぁ…』

「これでチャラにしてもらおうじゃないの」



そう言い、ジャケットを肩にかけた青雉はルフィに背を向けて歩き出す。
その背を追い、アルトも後ろを追いかけるが、いきなり立ち止まった青雉の背中に正面衝突した。


『え、なに。どうしたの』

「そういえば…あぁ…なんだ、その…まぁいいや」

『え、何。わかんねぇよ』

「あー、あれだ。お前…なんでここに来た?」

『だから、あんたを迎えに行くようにセンゴクに命令されたんだよ!!』

「そりゃあご苦労なこった」


豪快に笑う青雉は泊めていた自転車に跨り、懐から紙を取り出す。
それを眺めている青雉の肩口から紙を眺めると、それは地図だった。


麦わらの行き着く次の島は『ウォーターセブン』。
本部に近いその町で麦わらはまた騒動を起こすだろうと踏んだアルトは苦笑を浮かべながら青雉の自転車に跨った。


『乗せて〜』

「ちょっとちょっとォ〜、君跳べるでしょ〜」

『いーじゃん。疲れたんだよー』

「しょーがないなー」


やがて海が凍りに包まれ、二人の成人男性の二人乗り自転車は進みだした。








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