依存している。

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「……それで何の用だ、黒鬼屋」


抱きついたままのアルトをひっぺがえし、息をついたローは静かに問うた。
可愛い笑顔を近づけながらアルトは嬉しそうに話しだす。


『ルーキーたちを見て回ってたんだよ。会いたい奴にはもう全員会えて、後はローを探してたところだった』

「海軍中将殿がそれでいいのか?」

『んー?今日はオフだし』

「そういう問題かよ」



確か最後に会ったのはローが13歳のときだ。
あれから11年も経っている。
昔とは違い、ローは背が伸びていて髭が生えていてピアスが増えていて刺青が増えていて…とにかくアルトはローの色々な変化に驚いた。
だがむかしから大人っぽかった(悪く言えばマセてた)ため、根本的な性格は変わっていないらしい。



『君ももう24歳か…早いねぇ』

「じじくせぇこと言うな」



ほのぼのとした雰囲気に、キャスケット帽のシャチと防寒帽のペンギンは色々な疑問を覚えた。
白熊のペポはというと、『キャプテンが楽しそう=悪い人ではない』と認知しているらしくもうすでにアルトの近くに寄って綺麗な顔を眺めている。



「あ、あの…“黒鬼”ってあの“黒鬼”ですよね…?」

「あぁ、海軍本部中将“黒鬼”のサバリー・アルトだが?」


それがどうした、と言いたげなローの声色に質問をしたシャチは震えた。
何故そんな大物(しかも敵)とローが熱い抱擁(一方的だが)を交わした後に懐かしげに話をしているのか、シャチの中ではそんな大きな疑問が浮かんでは消えていく。



「で、なんでその黒鬼と船長が親しげに話をしているんですか?」

「おれと黒鬼屋はちょっとした旧友だ」

『よろしくね♡』



横ピースを決めてやれば、またもやペンギンとシャチの絶叫が響く。
うるさい、と両手で耳を塞いだアルトは隣でもっとうるさそうにしているベポの頭を可哀想にと撫でながらローに目を向けた。



『面白そうだねぇ』

「まぁ、退屈はしないな」

『素直に楽しいって言えばいいのに』



にひひと意地の悪い笑みを浮かべて、自分よりも少し下にある背中をばしばしと叩くと、ローが恨めしそうにアルトを睨む。



『ていうか“黒鬼屋”ってやめてよ。昔みたいにアルトって呼んでよ。っていうかさっき呼んでたじゃん』

「………」

『ホラ呼べよ。「アルト♡」って』

「そんな甘ったるい呼び方をした覚えはねェ」



ローの受け答えがまんざらでもなさそうなのを見て、ペンギンはぴんときてしまった。
シャチとベポは分かってなさそうだが、ペンギンは仲間の中で頭が良い方である。


――あぁ、船長の想い人なんだろうな。この人…。


旧友とは言うが、ローのアルトへの対応は仲間へ向けるそれと一緒だ。



「船長、こんなところで話すのもなんですし船で宴でも開いたらどうですか?バンダナとかが最近宴やってないってボヤいてましたし」

「おぉっ、ペンギンナイスアイディア!!」

「昨日たくさん食材買ったから充分できるよ!!」



協力してやることにした。
ペンギンはローの方を向き、賛同を促す。
するとローは少しだけ帽子を下にずらし、しょうがないというように賛成した。
帽子をずらすのは照れたときのローの癖だ。


――素直じゃないんですから…


少しだけ笑ってみせると頭の良いローはペンギンがどんな思いでアルトを誘ったのかが分かったらしく、少しだけ赤い顔で睨んできた。


可愛いと思ったが、言うと機嫌を損ねかねないのでペンギンはそっと飲み込んだのだった。








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