依存している。
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なぜか海賊に囲まれた。
こちらが海軍と気付いているのだが、いかんせん正体はよく分かっていないらしく大勢に囲まれた。
「おいおい無視かよ」
「悪いようにはしねェって!!」
――うぜっ
心中で短くはき捨て、そろそろ良いだろうと精神的に戦闘準備を整えたとき、目の前の男が吹っ飛んだ。
驚きでこれでもかと目を見開くと目の前いっぱいにオレンジ色が広がった。
オレンジ色と白が感知されたとき、目の前の物体がこちらに顔を向けて声をかけてきた。
「大丈夫?怪我してない?」
『あっ、あぁ…』
カンフーのような動きで海賊を蹴散らしたその物体は動き、喋っているが人間ではなかった。
オレンジ色のつなぎを着、白い毛皮で身をつつみ、見た目の可愛さとは少し離れた低い声で喋る熊。
『く…熊…』
「熊でスミマセン」
「「打たれ弱っっ」」
熊の横にいた白いつなぎの二人組が声をそろえてツッコミをするという奇妙な行動を捉え、アルトは驚きであまりまわらない頭を無理やり動かした。
とりあえずお礼を言った方がいいだろう。
熊は心配そうにこちらを見ているし、二人組の男もこちらに寄ってきている。
『あ、ありがとう…?』
「お兄さん可愛いね」
「ベポ、男に可愛いは失礼だ」
「お前、この間船長にそう言ってちょっと怒られただろうが」
「スミマセン」
『あ、いえいえ…』
アルトの目の前まで来た二人組は、アルトの格好を見て固まった。
固まった二人組のうちの一人はPENGUINと書かれた防寒帽を被り、もう一人はキャスケット帽にサングラスという不思議な格好をしている。
そして、胸にはジョリーロジャー。
『あ、ハートの海賊団か君達』
「か、かかかかかいぐんんんん」
『あの、ちょっと落ち着いて…』
話は急展開。
さっきまで纏わりついていた白熊は二人組の方へ行き、三人(二人と一匹)とも戦闘態勢に入っている。
『おれオフなんだけど…』
「信用できるかっ!!」
『君達の船長に会いたいだけなんだけど…』
「捕まえるためか!!」
船長には指一本触れさせないぞ、と二人は意気込んでいたが海兵のコスチュームを着ていないため、並の海兵ではないと気付いているのだろう。
緊張で汗が滲んでいた。
「ペンギン、シャチ、ベポ。何してる」
三人(二人と一匹)の後ろから声がかかり、アルトの顔がパアァッと明るくなる。
明るい顔のまま背景に花を飛ばすアルトに疑問を覚え、三人(二人と一匹)が戦闘態勢を解くとアルトが勢いよく駆けて行った。
『ロー!!!』
「――っ、アルト!!??」
自分達の船長に勢いよく抱きついたアルトに驚きをかくせない三人組。
しかも自分達の船長はいつも他人を呼ぶときとは違い、敵であるアルトのことを名前で呼んだ。
「「「えっえええぇええええぇぇぇえ!!???」」」
三人の絶叫が島に木霊したのだった。
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