依存している。

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しばらくすればキッドの仲間が三人酒場に入ってきた。
キッドとともに椅子に座るアルトの姿を見て、仮面の男の纏う空気が一瞬変わったのをアルトは見逃さなかった。



「右からドレッド、ヒート、キラーだ」

「キッドの頭が女を横に置くなんて珍しいですね」

『おれは男だよヒート君』



ポロリと漏らしたヒートを睨みつけると彼は苦笑いをした。
何を喋れば良いのか分からなくなってしまったヒートに変わり、多分仲間の中で一番キッドに近いであろうキラーがやっとというように口を開いた。



「男でも珍しい。キッド、そいつは誰だ?」

「海軍中将“黒鬼”のサバリー・アルトちゃんだ」

『ちゃんづけすんな殺すぞ』



なぜ海軍といるんだ、とキラーの顔が訴えていた。
彼は仮面をつけているが、纏うオーラが僅かに怒気を含んでいる。


――こいつもオカン気質か。

――ヴァクトそっくりだな。


そんなことを思いながら、ゆっくりと口元に弧を描いて正面に座るキラーを眺めると、その視線に気づいたキラーが何だ、と声上げた。



『“殺戮武人”キラー君ね。キッドと君に会えて嬉しいよ』

「捕まえたら昇格できるからか?」

『コートは羽織ってるけど今日はオフだ。そうじゃなきゃ君のとこの船長がここに置くわけないだろ』

「いや、キッドならお前が仕事中でも置いたぞ。気に入られたんだろう?」



気に入られたのか。
アルトにもよく分からなかった。


キッドが何故自分を気にいったのか。

どの場面で気に入られたのか。

盗賊を投げ飛ばしたからだろうか。

顔がかわいいからだろうか。


色んなことを考えてみるがやはり分からない。
なぜこの赤い悪魔は自分の横で笑っているのだろうか。
海賊と言えど自由すぎるだろう。




「海軍のくせに腐っちゃいねェこいつの誠心に惚れた。どうだ?おれの船に乗らねェか?」

『断わるよ。おれはまだ海軍にいたいし、もし海賊になるとしたら乗りたい船がもうある』



次々と机に置かれていく料理と酒を見れば、買いにいってくれた店員への感謝の言葉が浮かんだ。



「んじゃあ、おれがそいつからぶんどってやんよ」



ニヤリと笑ったキッドを見て、まためんどくさい奴を懐かせてしまったとアルトはため息を吐いた。









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