依存している。

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ボニーの食欲はアルトの想像以上のものであり、こちらが胸焼けしそうなほどだった。
店のほとんどの食材を食べてしまったボニーとは違い、アルトはボニーの食欲を目の当たりにしたせいであまり腹ごなしをできなかった。


まだ足りないと騒ぐボニーに別れを告げて、街を練り歩いているとなにやら人の声で騒がしい酒場を見つけた。
どうやら盗賊が中で暴れているらしい。
仕事中ではないとはいえ、ここは海軍中将としてどうにかしないといけない。
アルトはその酒場に入っていった。



「良いか!?おれ達は“ひとつなぎの大秘宝”なんて馬鹿らしいものを信じて無駄な一生を過ごす海賊とは違うんだよ!!」




汚い顔しをしたボスらしき男がバーの中で机に足をかけて怒鳴っていた。
周りの子分らしき男達が好奇の目をあてている。


アルトが何の騒ぎかと店主に問えば、コートで海軍だと分かったらしく騒ぎの内容を詳しく教えてくれた。


どうやら、この盗賊たちはこの街をナワバリとしていたらしいのだか、次々とこの街で好き勝手にする海賊達(今日でいうボニー)に怒っているらしい。
気晴らしにとこの酒場に来たはいいものの、食べ物や飲み物はすでにボニーに食い尽くされているというのだ。
痺れを切らせた盗賊たちがここの酒場で暴れているとなると、アルトはこの男達の懐の狭さにため息しかつけない。



『おいお前ら、いい加減にしろ。インペルダウンにぶち込むぞこのやろー』

「あぁ?なんだぁ?カワイイ子ちゃんよ、相手でもしてくれるってのか?」

『かっちーん』



下ネタともとれる挑発(一番アルトがキレる類である)にまんまと乗ったアルトは盗賊のボスの胸倉を掴み、覇気を纏わせて凄んだ。



『いいか?“ひとつなぎの大秘宝”が本当にあるかないかなんて知らねェけどなぁ。「ある」っつう可能性を考えられねェような、自分の思ったことが正しいと思ってるようなお前みたいな馬鹿が一番無駄だわ。だったら「ない」っていうことを考えながらも「ある」ことを信じて航海してる海賊の方がいくらか賢いね』

「……あ、」

『頭以外にお前、目も残念だよな』



少し溜めたアルトは男の胸倉を掴んでいる右手に力を入れる。
筋肉が震えるほどに。



『おれは男だばぁあああか!!!』



そして、その力を入れた右手で思いっきり男を投げ飛ばした。
ドアをブチ破り、情けない声を上げながら地面とキスをかます男に、子分共が寄っていく。
その様子を眺めながら、アルトは一つ息を漏らすと両手をパンパンと払った。


少しの静寂を含んだ店内で男の笑い声が響く。



「てめェ、なかなか面白ェじゃねェか」

『どーも』

「あいつも命拾いしたな。てめェがいなかったらおれが殺してた」



口元を吊り上げて笑う男は自分の髪と同じ色をしたふわふわのコートを揺らしながらアルトに近づいていく。



「だがあの男、目は残念じゃねェだろ。アンタそこらの女よりカワイイ顔してるぜ?」

『寝言は寝て言えよ。ユースタス・“キャプテン”・キッド』

「なんだ、おれのこと知ってんのか?」

『逆におれのこと知らないのかよ』



適当に自己紹介をすると、キッドの目が見開かれた。
どうやら素直に驚いているらしい。



「“黒鬼”のアルト…か。想像よりも大分なよっちぃな」

『殺すぞ』

「威勢もいいな」



短く笑ったキッドは、自分がさっきまで座っていた机にアルトも座るよう促した。
どうやら酒場の店員が必死で材料を買っているらしく、キッド自身はこの酒場で材料と仲間を待っているらしい。
ボニーが食べてしまったのならしょうがない、と彼なりに引いているらしく悪人面のくせにそこまで悪い奴じゃないことが伺えた。










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