依存している。

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スモーカーは今回だけ麦わらを逃がすことにしたらしい。


おれは彼の決定には大賛成だ。
だが一つ引っかかることがある。


果たしてゴム人間の彼が砂のクロコダイルに勝てるのだろうか。
霧であるおれが戦ったほうが有利なのではないだろうか。


ここは一つ、麦わらを試してみたくなった。



『砂相手に水が有利なのはわかるよね?』

「んー?なんとなく?」



不思議そうに首を傾げた麦わらは曖昧に答えた。
なんとなくでも分かっていればいい。



『おれはヒトヒトの実モデルヴァンパイアを食った吸血鬼人間だ。吸血鬼性を存分に発揮できるから霧になることができる』

「それがどうした」

「霧…っていうことは水だから、あいつならクロコダイルに簡単に勝てるってことよルフィ」

『そういうことだ。君はそれを聞いても自分で闘う?』

「あたりめェだ。クロコダイルはおれがブッ飛ばすんだからな!」



即答。
自信満々に言い切った彼の顔には勝利への確信と「何言ってんだコイツ」という色が伺えた。



『ん、それなら良いんだ。ここでおれに譲るようならスモーカーの意思を無視して君を捕まえるつもりだった』

「……次に会ったら…命はないと思え“麦わらのルフィ”」



ニコリとおれが微笑んで見せて、スモーカーがぶっきらぼうに答えれば後ろから部下達の声が聞こえた。
麦わらたちは急いでクロコダイルの方へと向かう。


「早くしろ」というロロノアの声を聞きながら麦わらはおれ達の方を向くと無邪気に笑って見せた。



「おれ、お前達きらいじゃねーなァ〜!!」

「さっさと行けェ!!!」



照れ隠しなのか単純にイラついただけなのか分からないがスモーカーは麦わらに十手を落とした。
びっくりした麦わらが焦りながら駈けて行く。


おれはその背中に笑顔で小さく手を振った。



「大佐、中将!!追われないんで!?」

「………ああ…疲れた」

『気分じゃないんだよね〜』

「ええっ!?」



麦わらの方を指差し、おれ達の返答に驚きを隠せないでいる部下にスモーカーは指示を出した。


「今追ってった奴ら、無駄だから呼び止めろ…。そしてここに収集。本部にも連絡を、現在アラバスタ王国周辺にいる軍の船を全てこの国に集めろと」

「援軍を呼ぶのですか!?…ですがあんな少数海賊相手のために上官が船を動かしてくれるかどうか…それにアルト中将もいますし役は足りてるように…」

「おれがいつ上官の意見を聞いたんだ!!?」

『おれ疲れてんだよ。早く援軍呼べ』



スモーカーの睨みに悪ノリし、おれが月下光を出して脅すとひとりの海兵が目に涙を溜めながら連絡を取りにいった。
おれがそれを見てケラケラ笑っていると、スモーカーからため息が降ってきた。

なんだか最近ため息をつかれることが多い気がする。



『で、おれはそうすればいいかな?スモーカー大佐?』

「おれと来い」

『へいへい。まったく君くらいだよ、おれに命令すんの』

「上官がいるだろ」

『おれ上官からのあんま聞かないもん』



そうかよ、とスモーカーは呆れ気味に葉巻の煙を吐いた。









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