依存している。

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どういうことか目の前のプリンスさんはこちらに向かってハートを飛ばしていた。


檻の中にいるオレンジ髪の女の子――もといナミちゃんに向いているところを見ると、彼はどうやら女好きらしい。


「クソコック…良いところで着やがって…」

「あんだぁ?クソマリモ…はっ」


緑髪君――もといロロノアと喧嘩を始めそうなプリンスはなぜかこちらに顔を向けた。


「お美しい、その刀で僕の心臓を刺して欲しいくらいだ…」

『……』

「…ん?だがなんだかレディとはニオイが違う気が…」

『ガチで刺してやろうか?生憎だがおれは男だ』

「なっ…なんだと!!!???」

「羽子は男なのか!!?」


プリンスが落ち込み麦わらが驚く。
ついでに後ろでスモーカーが少しだけ笑っていた。
腹が立つことこの上ない。


というか匂いがレディじゃないって何だ?
こいつも何かの実の能力者か?


スモーカーは空気を戻そうと喉を鳴らし、口を開いた。



「今…三番目に部屋に入ってきた奴を仕留めろ」

「何だ!?お前…わかんのか?」

「てめェらの耳は飾りか?…今の声、カギ食ったヤツと唸り声が同じだろ」



さすがスモーカーだと正直に思った。


おれは声を聞いていなかったので気づかなかった。
中将なのにお恥ずかしい限りで。



プリンス――もといサンジが指定されたワニを蹴り上げるとカギではなく白い塊が出てきた。
中からはカラカラに干からびた人が。
そいつは水を飲んで回復しこちらを見て驚きを見せた。


どうやら麦わらと知り合いらしい。



ドルドルの実を食べた蝋燭人間。
彼の体は蝋燭を自在に作り出すという超人系の悪魔が宿っていた。


長鼻君の提案からドルドルの力で合鍵を作ることに成功し、檻は見事に開いた。
お役ゴメンでドルドル男はサンジによって蹴飛ばされる。


気づけば麦わらがバナナワニを全部倒していて、王女様が「自分が一匹相手にどれほど苦戦したか」で落ち込んでいた。



『おい、あれ…』

「うわあっ!!壁が壊れたァ!!!」

「通路まで壊れた!!脱出だ!!」


水が勢いよく部屋に入ってきた。



体が飲み込まれ、力が出ない。
重りでも仕込まれているかのように体が動かない。


このまま死ぬのかな。

溺死だけはイヤだったのにな。

情けないな。

まだ北に行ってないのにな。

ローに会いたかったんだけどな。


苦しい。

息が。




ふと意識すると誰かに運ばれているようだった。


段々と光が見えてくる。


少しだけ横を向けば緑色の髪が見えた。





『――っ、』



ザバンと自ら上がり、空気が肌を刺激し酸素が肺に入ってくる。
生きていた。
生かされた。
それだけでなんだか嬉しかった。


おれの横にはロロノアがいて、その横にはスモーカーがいた。
聞けば船長命令だとのこと。



『助かったよ、麦わらとロロノア』

「にっしっしっ、気にすんな!」


おれはこういうとき、海軍としてのプライドは皆無なため素直に礼を言った。


だがスモーカーは違う。


「何故おれを助けた」

「“船長命令”をおれはきいただけだ…別に感謝しなくてもいいと思うぜ?こいつの気まぐれさ、気にすんな」

「…じゃあ…おれがここで職務を全うしようと…文句はねェわけだな?」



部下達の声が聞こえる。


ここでやり合えば多分、おれ達が勝利する。


立ち上がった麦わらも勝負をする気満々で拳を握っている。
ただおれは、今ここで意見を言ってはいけないような気がしたので口を閉ざした。


スモーカーの判断に任せよう。



「………行け」

「ん?」

「――だが、今回だけだぜ…おれらがてめェらを見逃すのはな……次に会ったら…命はないと思え“麦わらのルフィ”」











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