依存している。

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あろうことかバナナワニが鍵を飲み込んだ。


獰猛なバナナワニを女の子一人(しかも王女様)で倒せるわけがない。

おまけにどのワニが飲み込んだのか皆目検討もつかない。


「さて……じゃあおれ達は一足先に失礼するとしようか…」



上からこちらに視線を向けるクロコダイルとニコ・ロビンからは慈悲の光なんて見えやしない。



「――なお、この部屋はこれから一時間かけて自動的に消滅する。おれがB・W社社長として使ってきたこの秘密地下はもう不要の部屋。じき水が入り込みここはレインベースの湖に沈む」



隣のスモーカーはもうずっと喋らない。


この状況に呆れているのか落胆しているのか。


いや、落胆はないか。



ちなみにおれは一番溺死がいやな死に方だと思っているので、どうにかしてここを抜け出す方法を考える。
だが、どう考えてもやはり鍵が必要となるため頭を使うのは諦めた。



王女様は膝をつき、しばらくの間動かないでいた。
何かを考えているようだった。
突然武器を手にしたが、ショックが大きいのだろう。
金属が床にはねる音が響き渡り、その後に王女様の感嘆の声が聞こえた。



「ビビ!!!何とかしろっ!!!おれ達をここから出せ!!!」

「ついに命乞いを始めたか麦わらのルフィ!!!そりゃそうだ、死ぬのは誰でも恐ェもんさ…」

「おれ達がここで死んだら!!!誰があいつをぶっ飛ばすんだ!!!」



威勢はよかった。
彼の心は他の海賊と違って腐っていなかった。


クロコダイルは彼の言葉にイラついたのか少しだけこちらに顔と殺気を向けた。



「……自惚れるなよ小物が…」

「……お前の方が小物だろ!!!」



麦わらは大差ない殺気を向け返し声を低く押し静めた。


見栄なんかではない。
こいつは本気で七武海を敵に回す覚悟ができている。



バナナワニまで部屋に入ってきて事態は急降下。
悪い展開にばかり持っていかれる。


ビビ王女一人では歯も立たない
頭から血を流し、もう闘えそうにない状況だ。

おれの能力を使って止血だけでもするべきかどうか迷った。
声を出そうとした瞬間――。



《もしもし?聞こえてますか?》



電伝虫が鳴った。


最初は彼らの部下なのかと思ったらどうも違うらしい。
麦わらたちの顔は希望に満ちていて、輝いていた。
どうやら麦わらの仲間らしい。



「てめェ一体何者だ……!!」

《おれか…おれは……“Mr,プリンス”》



電伝虫の主が名乗った瞬間、麦わらたちが声を荒げた。
助けてくれ、と叫んでいる。


さっき麦わらが「サン…」と言いかけたので“Mr,プリンス”が先ほど物真似されていた“サンジ”なのだろう。


溺死せずに済みそうだと安堵したところで電話ごしの彼は生き残りのB・Wにやられてしまったようだった。


麦わらたちの悲鳴が響き渡る。


電話を切ったクロコダイルが歩き出すと王女様はバナナワニの巨体を使い、外に出ようと瓦礫を掴んだ。

だがそれもクロコダイルによって阻止されてしまう。



瓦礫の上には意識のない王女様。
真っ赤な血が瓦礫の白を汚していく。


階段を登りきったクロコダイルは笑いながらドアを閉めた。


麦わらの悔しそうな叫び声が木霊した。








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